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田舎の分校に通ってみたい。東京で生活をするうちに、私(中澤)はいつからかそんなことを考えるようになった。おそらく、『となりのトトロ』をはじめとする田舎の少年少女を描いた作品は、キャラクターの表情がキラキラ輝いていることが多いからだと思う。あんな顔で笑ってみたい。
だがしかし、私は35歳だ。今から田舎の分校に通おうものなら多分逮捕される。そこで、廃校を利用した宿泊施設「カリンパニ・ニセコ藤山」に泊まってみることにした。
・ロケーション最高の廃校ユースホステル
北海道のニセコ駅から車で15分ほど走った場所にある「カリンパニ・ニセコ藤山」。門のように大きな木が立つ入り口を入ると、赤い屋根の木造校舎が出迎えてくれる。
田舎アニメに出てきそうな理想の佇まいだ。っていうか『のんのんびより』の旭丘(あさひがおか)分校みたいである。校舎の奥に雄大な山が見えるロケーションも素晴らしい。こんな学校に通いたかった。
・計6部屋
それはともかく、部屋は男性専用のドミトリー(4名2段ベッド2つ)、女性専用のドミトリー、2人部屋の和室、4人部屋、6人部屋、8人部屋の計6部屋。私が泊まったのは男性専用のドミトリー部屋で、同室に宿泊者はいなかった。
・隣の部屋はベルギー人が宿泊
ちなみにこの日、カリンパニ・ニセコに泊まっていたのは私とベルギー人女性のクロイのみ。クロイは中国の北京在住だが、5日間かけて自転車で北海道を回っており、小樽まで行く途中なのだとか。この宿を選んだ理由を聞いてみたところ「特にないわ!」とのこと。
「シーユーレイター」と言い残し、そのままクロイはどこかに散歩に行ってしまったので、私は体育館にあったピアノを弾いた。クロイに届けマイソール! 好きだ!!
・壁に沁みついた学校の温もり
そんなこんなで夜……まるで旅人たちの心を映したように月は1人ぼっちである。もうすぐ7月だというのに、毛布なしでは眠れないほど肌寒い。だがしかし、私にはわからなかった。寒いのは気温と心のどっちだろう。壁に沁みついた学校の温もりを抱いて寝た。
・オーナーが作る食卓
翌朝、食堂でクロイと2人でオーナーの伊藤さんの作った朝食を食べていると、伊藤さんが口を開いた。「昨日、寒くなかったですか? 寒すぎてビックリしました」と。ニセコの人にしても昨晩は寒かったみたいだ。いや、ひょっとしたら伊藤さんも心に何かを抱えているのかもしれない。
・東京のサラリーマンだったオーナー
聞けば、以前は東京の会社でサラリーマンをやっていたという。そんな彼が、このユースホステルのオーナーになったキッカケは何だったのか。
伊藤さん「スキーがしたかったんです。私は北海道出身なので。また、前の仕事で、ニュージーランドに5年ほど出張をした時、家族も田舎の暮らしを気に入りまして。そこで、たまたま先代のオーナーがカリンパニ・ニセコを譲る人を探してることを知って、巡り合わせかな……と」
──個人的にはスローライフに憧れはありますが、実際はどうですか?
伊藤さん「今はこの暮らしに満足してます。ただ、子供も大きくなってくる中で、いつまでも同じことはできないんじゃないかなという思いもあって、これからのことは考え中ですね」
──彼もまた人生という先の見えない道を行く1人の旅人だった。そう、私たちはいつだって旅をしている。全く別の3人の道が交わったその日、食卓で飲んだコーヒーは1人で飲むより少し温かい気がした。
宿泊費は朝食付きで4300円。ちょっと行くのが大変だが、宿泊するだけでもプライスレスな体験になることは間違いない。今度行く時は、同室の宿泊者がいたら良いなあ。
・今回紹介した店舗の情報
店名 カリンパニ・ニセコ藤山
住所 北海道ニセコ町字ニセコ 336
営業時間 夏営業2017年6月1日〜11月6日(臨時休業あり)/ 冬営業12月~3月
電話番号 0136-44-1171
参照元:カリンパニ・ニセコ藤山
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
Source: ロケットニュース24
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