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今、ある1枚の「編み物の写真」が注目を集めている。そう聞けば、人間業とは思えない技巧的な編み物が載っているのでは……なんて思ってしまうが、逆なのだ。
そこには、徐々に形が崩れていく編み物の作品がいくつも収められているのである。実はこれらの作品は、認知症だと診断されたある女性によるものなのだとか。
・「母の編み物の作品を並べると、認知症の進行具合がよく分かる」
サラ・ウィラーミンさん(ユーザーネーム wuillermania さん)が、自身のFacebookページと海外掲示板『Reddit』で公開した写真には、彼女の母親が作ったという計14個のかぎ針編みの作品がうつっている。一緒に「母の編み物の作品を並べると、認知症の進行具合がよく分かる」との文章が添えられている。
一見すると色や形が様々なコースターの集まりに見えるが、その1つ1つに目をやるとあることに気が付くはずだ。
最初は四角く、模様もきちんと編まれている作品が、途中から形が崩れ丸くなり、最後はただの毛糸の塊に。そう、認知症の進行が進むにつれ、作品が目に見えて壊れていったというのである。
サラさんによると、これらは認知症初期の1〜2年の間に作られたものとのこと。54歳で認知症だと診断された彼女の母親は、脳の働きを活性化させるために編み物をよくしていたが、時が進むにつれその行為もおぼつかなくなり、最後は何も編めなくなってしまったそうだ。
現在では家族のことが認識できず、自分が誰であるかも分からない状態だという。
・認知症の母が日々教えてくれること
その様な状態にある家族を見るのはツラいもの。 サラさんも、母親の苦しむ姿を見たくない一心で「母はもう生きていない方がいいのではないか」とすら思ってしまったり、「母は果たして幸せなのか?」と何度も自問し続けていると『Reddit』にて告白している。
だが彼女は「母は私たち家族の愛を感じているはず」だと信じながら介護を続けているもよう。また認知症の母親は様々なことを教えてくれるとも語っている。
「母に何かを相談してアドバイスを仰ぐことは出来ませんが、それでも私は日々母から色々なことを学んでいます。献身的な愛情、無償の愛、『病めるときも健やかなるときも』という言葉の本当の意味など……」
・同じ境遇の人に1人ではないと伝えたい
またサラさんは「同じ状況にある人々にアドバイスなどはありますか?」との問いかけに対して、次のように答えている。
「私たちの場合は “音楽” が、とても重要なツールとなっています。母とのつながりを保ち、彼女を落ち着かせてくれるんです。母の側にいるときには、彼女が昔好きだった曲をかけるようにしています。元気づけるためです。記憶を失くしても曲は覚えているようで、母はメロディを口ずさんだりします」
「母が失われてしまったことは乗り越えられないが、人々に認知症について知ってもらい、同じ境遇の人に1人ではないことを伝えたい」……そんな気持ちでサラさんが投稿したこの写真は、多くの人の心を打っている。「見ているだけで切なくなる」「同じ体験をしているのが自分だけではないと知ってホッとした」など4000件以上のコメントが寄せられているのだった。
参照元:Reddit(英語)、Facebook
執筆:小千谷サチ
Source: ロケットニュース24
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