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「あのう、菊池桃子の写真集、国税局まで取りに行ってもらえませんかね?」
遠方のAさんから届いた謎のメッセージ……。なんでも、国税局のネット公売(税金滞納者から差し押さえた財産が出品されるネット競売)に、土地や車などに混じって、なぜか菊池桃子の生サインと写真集が出品されるという異常事態が!
菊池桃子といえば、40代のオッサンは胸熱の元・人気アイドル。勢い余って落札した桃子ファンのAさんだが、この件、奥さんにはナイショ。巨大な判型の写真集を自宅に配送されるのは、なんとしても避けたいのだという──。
・敷居は高いが掘り出し物いっぱい!
煩雑な手続きがネックで入札ゼロの出品も少なくない官公庁オークション。ちなみに「菊池桃子写真集」の出品価格はわずか100円だった。
ふだん、無慈悲に税金をむしり取るばかりの「お上」が、たった100円の税収を得るために、アイドル写真集まで出品するのか……と感服したAさんは、これを落札しようと決意。ところが!
官公庁オークションは「ヤフオク」のシステム上で運営されており、ほぼヤフオクと言っても過言ではない。違うのは出品者が全て公的機関であること、出品前の「事前公開」期間中に、入札したい「商品」ごとに参加申し込みをしなければならないこと。
つまり、商品ごとに事前エントリーしなければ、途中入札できない仕組み。この敷居の高さがいかにも「お役所」である。
・元アイドルにかける男たちの執念
30年以上前の写真集、得体の知れないシミだってあるだろう。差し押さえた国税の担当者も、熱心な桃子ファンだったのかなぁ……。古ぼけたサイン色紙も付いてるらしいが、真贋は不明。こんなもの、俺以外誰も買わないよな、と軽い気持ちで入札したAさんだったが、さすがは一世を風靡したアイドル、蓋を開ければ彼を含む5名が争う予想外の展開に。
うち1名は強敵で、100円だった写真集はいつの間にか7千円超え……。ノリで入札したAさんも若干青ざめつつ、ついに7660円で落札した!
商品は宅配もしてくれるが、冒頭で述べた事情により、今回は代理人であるこの私が、Aさんの委任状を携え、東京国税局まで受領に向かうことになった。
・好奇の目にさらされながら……
指定された(!)日時に、東京・築地は朝日新聞本社脇にそびえる国税局のビルに入った。警備員がいるだけのがらーんとした1階ホール。その奥にある「公売財産引渡会場」という物々しい小部屋で書類を渡し、数名の局員さんに見守られながら、超大型サイズの写真集を受け取ることができた。
最初、極めて事務的だった局員の皆さんだが、あまりに巨大な写真集が、私の持参した封筒に入らないとわかるや、フフフ……、ンフフフ……と意味深に微笑みながら、ダンボールとエアキャップできっちりと梱包してくれた。
もしかして皆さんも桃子ファン? 喉まで出かかった言葉をぐっと飲み込み、特別な方法で写真集を発送。後日、Aさんから丁寧なお礼のメッセージが届いた。
「画像で見るより状態が良く、30年前の写真集とは思えません。懸念したシミも目立たず、サイン色紙も当時の所属レコード会社のもので、高い確率でモノホンと思われます。
これを税務署に奪われた前オーナーの気持ちを思うと、借金のカタに娘をさらわれた江戸時代の水飲み百姓を連想し、大事にしなければ祟りがありそうだと胸が痛みました。」
写真集以外のアイテムもいっぱい! みなさんもショッピングで国家に貢献しませんか?
参照元:官公庁オークション
Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.
Source: ロケットニュース24
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