“必死すぎる猫” を撮らせたら右に出る者ナシ！売り切れ続出、話題の写真集『必死すぎるネコ』の写真家・沖昌之さんに話を聞いてみた

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人気の猫。書店にも、猫にまつわる雑誌や写真集がたくさん並んでいる。どの本も、カワエエ猫でいっぱいだなあ！　でも、あれ？　なんだか可愛いというよりも、一生懸命な猫の写真ばかりが載った本があるなあ……そう、それが売り切れ続出で、話題となっている写真集『必死すぎるネコ』だ。

タイトルからも分かる通り、色々なことに必死になっている猫が次々と登場するのだが、どうやったら “クール” な猫様のそんな姿を撮ることが出来るのかしらん？　そこで今回は、写真集を発表したご本人、写真家・沖昌之さんに話を聞いてみたぞ!!

・沖さんの写真はどれも「猫目線」

虫を捕まえようと必死！　ケンカして必死！　でんぐり返しをして必死！　も〜う真剣＆一生懸命な猫がぎっしり詰まった『必死すぎるネコ』。以前、当サイトにも登場した “日本の猫を撮らせたら世界一” の写真家・沖昌之さんの新刊だ。

こんな写真が撮れるのも、沖さんがほぼ毎日、外にいる猫の姿を追い続けているからこそ。沖さんは、「猫が猫のポートレートを撮っている感じを出したい」という気持ちで撮影にのぞんでいるそうだ。

「普通すぎて見過ごしてしまうけれど、写真になったら面白くて笑える瞬間や見る側の心が揺れる瞬間を撮影したいと思っています。猫のそんな姿は、猫たちが1番見ていると思うんです」

あ、たしかに。沖さんの写真って、どれも「猫目線」だ。

・沖さん「猫ってクールなふりをしてユニーク」

「撮影をするまで、“お外の猫” はクールで、人にも無関心なイメージを勝手に持っていました」と述べる沖さん。だが、何年にも渡ってコツコツと撮影を続けるうちに、猫たちの必死さに気付いていったそうだ。

ゴハンをくれる人を慕うあまり、その人が乗る自転車の音を聞いただけで尻尾をピンと立ててご機嫌になる猫。自分からケンカを売っておきながら、逃げ出しちゃう猫。変な表情やポーズで必死にヒモにジャレている猫……などなど。

「見ていると思わずクスっとしてしまう行為を平気でするコが多いことに気づきました。猫ってクールなふりをしてユニークなんだなと」

・「必死な猫」を撮影するための3つのコツ

うーん、それでも猫様の「必死な姿」を撮影するのって、やっぱり難しそう。なにかコツってあるんですか？　沖さんは「大変なのであまりオススメしません（笑）」と言いつつも、以下の通り “3つのコツ” を教えてくれた。

【必死な猫を撮影するコツ】
コツ1：猫に気を許してもらう
猫に気を許してもらえば、自然と “必死すぎる瞬間” を見せてくれるようになるという。沖さんは、時間をかけて猫の元に何度も通うことを心掛けているそう。猫に顔を覚えてもらい、カメラを近づけても怖がられない関係を築いていくのだ。

だが、猫の性格も様々。「近づかれるのがイヤなコもいるので、そういう時は望遠で構えたりもします」とも沖さんは話している。

コツ2：住民とコミュニケーションを取る
これも猫と近づく方法。猫が気を許している住民とコミュニケーションを取れば、それを見た猫は「住民と打ち解けているこの人なら、安心しても大丈夫かも」と感じるのだとか。沖さんも、邪魔にならないように気を使いながら地域の人と交流をはかっては、その場に馴染むようにしているようだ。

コツ3：猫をとことん観察
猫を観察することも大事だと沖さんは指摘している。

「この場所のこの枝に必ず匂い付けをする、眠るときはココ、お気に入りのコは誰か、大嫌いなコは誰か？　など観察するんです。そうやって猫のそれぞれの性格が見えてくると、シャッターを切るタイミングも自然と見えてくる気がします」

・「焦らないこと」＆「余裕を持つこと」も大切

また、沖さんは猫を撮影する上で、「焦らない」「余裕を持つ」ことも重要だと話してくれた。

「撮影ばかりに焦っていると、猫はそのことに気付いて、撮影チャンスをくれなかったりするんです。自分は、気長に猫と一緒にいることを心掛けています。撮影よりも、猫を観たり、撫でたりする時間の方が長かったりします」

「猫が予想外の行動に出て、ファインダーから飛び出してしまうことも。例えば猫がジャンプして、失敗したとします。そこで余裕を持っていれば、物理的にファインダーの余白も作れ、失敗した猫の姿もバランス良く撮影することが出来る。“ここを撮る！” と執着しすぎると、その後にスゴいことが起こっても撮りきれなくなってしまうんです」

なるほど、沖さんの写真にはそういったジックリと猫に向き合った時間が染み込んでいるのか。Amazon 上にも『必死すぎるネコ』を読んだ人々から、「スルメのような写真集」「この瞬間のために、どれだけの時間を費やしたのか」「猫ってこんな見方があったのか…と気付かされる」などの感想が寄せられていた。読者には伝わるのだ。