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2016年11月1日、JR渋谷駅ハチ公口前にあった喫煙所が閉鎖になったことは記憶に新しい。あそこで多くの時間を過ごした者としては、「まさか閉鎖されるなんて……」と、喫煙者に対する世間の風当たりの強さにヘコんだものだ。
閉鎖から約3カ月が経ち、そろそろ跡地も綺麗になった頃かと思いきや、そこには想像を絶するひどい状況が広がっていた。
・閉鎖も仕方ない
考えてみれば、閉鎖も仕方がないのかもしれない。それほどに喫煙所の周辺は汚れていた。デッカイ灰皿があるのに、ポイ捨てされた吸殻が絨毯の柄のように広がった一帯は、同じ喫煙者でも気持ちの良いものではなかった。「元から吸殻が捨てられてるし」「みんなやってるからいいや」と、ポイ捨てする喫煙者はそう思っていたに違いない。
・旧ハチ公口前喫煙所の今
あれから、すっかり喫煙所跡に近づく機会がなくなった私(中澤)。先日、たまたま喫煙所跡を通った時、灰皿があった場所に謎の人だかりができていることに気づいた。
「喫煙所が新しくできたのかな?」と思った。なぜなら、その人たちは堂々とタバコを吸っていたし、中心には灰皿が設置されているようにも見えたからである。しかし、事実は全然違った。
近づいてみると、灰皿に見えたのはただの鉄でできた台で、ご丁寧に「ここでタバコは吸えません!」という貼り紙まである。また、渋谷の喫煙所マップも貼られていて、別の喫煙所がすぐ近くにあることは明らかだ。ではなぜここで吸うのか? それは聞くまでもなく、ポイ捨てする原理と同じだろう。
「みんな吸ってるからいいや」
──そんな声が聞こえたような気がした。当然のように一帯は吸殻のポイ捨てだらけ。綺麗になるどころか閉鎖前より汚れていると言っても過言ではないだろう。その光景を見るにつけ、渋谷から喫煙所が全て撤去される日も遠くないような気がした。
・もう1つの喫煙所の廃止
喫煙者に親しまれていた喫煙所がなくなったという意味では、JR新宿駅東南口も同じ状況である。2016年12月、長年東南口の階段を降りてすぐの広場にあった喫煙所が廃止された。だが、こちらは現在、全くタバコを吸う人の影はない。この違いは何なのか?
・2つのケースの違い
明らかな違いの1つは、新宿駅の場合、閉鎖ではなく移転ということだが、すぐ近くに喫煙所があるという状況は変わらない。個人的には、空間の作りが大きい気がした。渋谷駅は東急の駅ビルが背にあり空間が閉じている。対する新宿駅は広場の一角のため、喫煙所がなくなったら空間が開けているのだ。
後者は個室感がないので、人が溜まりにくい。仮にここで堂々と吸える人がいるならば、モラルの欠如はもちろん、かなりの強者であることは間違いないだろう。最初に吸う人が現れないので後に続く人もいない。
「みんなが吸ってないから吸わない」
──ここでは集団心理が良い方向に働いているようだ。また、新しい喫煙所も綺麗に使われている。
明暗を分けた2つの喫煙所。集団心理とは恐ろしいものである。だが、こんな時代だからこそ「みんながやっているから」ではなく、よりモラルを考えての行動が重要となってくるのではないだろうか。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
Source: ロケットニュース24
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