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皆さんは「歯医者」と聞いてどんなことを思い浮かべるだろうか。おそらく多くの人が、「行きたくない」とか「行くのが面倒くさい」とか思っているに違いない。私(佐藤)もそのひとりだった。古くから当サイトをご覧頂いている人なら分かるかもしれないが、私はめちゃくちゃ歯が悪く、以前から「治せ」という意見を多く頂いていたのである。
今年、意を決して治療に専念することにした。通い始めたのは2017年2月。週一回の通院を約7カ月間続けて、ようやくまともな口腔環境を手に入れることができたのである。
これは7カ月に及ぶ歯の治療の記録である。おおまかな治療内容とかかった費用について、お伝えしたい。歯の悪い人は参考にして欲しい。そして今すぐ歯医者に行くべきだ。
・5本の歯を失っていた
まず最初に、治療前の私の歯の状況を簡単にお伝えしよう。欠損していた歯の本数は全部で5本。正確には、歯冠崩壊もしくは残根状態の歯が5本だ。上は右中ほどの歯が3本、下は右奥歯と左中ほどの歯がそれぞれ1本ずつである。
元々歯並びが悪いうえに、銀歯が外れたまま長年放置していたため、30代中盤から歯の欠損が始まっていた。少なく見積もっても、5~6年は歯医者に行っていなかった。
・なぜ歯医者に行かないのか?
歯が良い人は、「歯がなくなってるのに、なんで歯医者に行かないんだ?」と思うかもしれない。これにはいくつかの理由がある。まず1つが、『いくらかかるかわからない』からだ。
高額なのは察しがつくけど、全部治すとスゴイ金額になるんじゃないの!? そう思ってしまう。実際にそこそこお金はかかるが、相談のしようはある。それを分かってないから行かない。
次に、虫歯が悪化して歯が折れたり抜けたりすると、そこで痛みが和らぐからである。いわゆる「神経をやられる」というヤツだ。痛みのピークを越えると、もはや感じなくなって、苦しみから解放されたような気分になる。
それまでは虫歯による地獄の苦しみなのに、そこを通り抜けてしまうのである。しかし、これはワナ。まるで許されたような気さえしてしまうから厄介だ。
最後に、通うのが面倒くさいというのも挙げられる。1回や2回の治療で良くなるはずがないのは分かっている。一体何回通えばいいのか? 歯医者に時間を取られたくないから、治療に行く気になれなかったりする。行かない理由は、おそらくこんなところだろう。
・治療後の状況
プロセスをお伝えしたいのだが、先に治療後の口腔環境について説明しよう。5本の歯の欠損を補うために、右上と左下には、それぞれブリッジを施してもらった。
右下は歯根だけを抜いて、親知らずを欠損した歯の代用として生かすことになり、そのほかの3本の親知らずはすべて抜いてもらった。左下のブリッジとかみ合わせを調整するために、左上の1本をクラウン(銀歯)に替えている。
これでかみ合わせは劇的に変化し、口を開けてもみすぼらしい感じがしなくなった。
かなり大ざっぱではあるが、「歯を入れる治療」はこんなところだ。
・治療費の総額
治療の費用についてお伝えすると、7カ月間毎週1回通院。初診を含めると29回にわたって病院に通った。
治療内容によって、都度かかった金額は異なっているのだが、治療全体でもっとも高額だったのは、やはりブリッジである。というのも、銀歯であれば保険が適用されるのだが、上の歯のブリッジは見えるところなので、銀歯ではなくセラミックスでお願いした。それも「模造ダイヤ」と呼ばれるジルコニアのものを入れてもらうことに。
保険のきかないジルコニアセラミックスのブリッジ(3本分)に関する治療代はなんと!
53万円ッ!
なけなしの貯金をはたいて、現金一括で支払いました! 長年歯を放置したツケを払っているような気持ち……。しかしそれだけの価値があるし、必要なものであると確信していた。払う羽目になったのは、全部自分のせい……。高くついたのは全部自分のせいだ……。
なお、治療費は総額で61万5380円となっている。ジルコニアセラミックスのブリッジの金額を考えると、日々の治療費は安く済んだように思う。
・本当の治療は……
さて、ここまでは前置きだと思って欲しい。本当に大事なことはここから。
私の治療の本題は、歯を入れることだけではなかった。というのも、歯を入れただけなら恐らくここまで時間がかかっていないからだ。大事なのは、歯を取り戻すために、口腔環境を整えること。いくらキレイな歯を入れたとしても、それを支える歯茎の状態が良くなければ、いずれ入れた歯も失うことになってしまう。
住宅建築で例えるなら、歯は家屋であり、歯茎・歯肉は基礎のようなものだ。基礎がしっかりしていなければ、丈夫な家屋を建てても、いずれ倒壊することになる。そう考えると、歯茎を治療することがいかに重要か理解できると思う。
健康な歯茎の場合、歯との間に1~2ミリの隙間があるそうだ。「歯周ポケット」と呼ばれるものなのだが、私の場合は歯茎が著しく後退していて、平均で4ミリ。深いところは5ミリも隙間があいていた。歯の周りに歯石がこびりついていて、歯と歯茎の溝をドンドン深くしていたのである。
歯石が押し退けた歯と歯茎の隙間に、食事の度に食べカスが入り込み、さらに喫煙でヤニが付着して、歯周病を進行させていたらしい。そのためか、治療の初期には、歯医者さんが歯茎に触れる度に出血していたくらいだ。ちなみに歯茎の色は紫に近い色だったかもしれない。歯磨きをする度に血まみれになっていたのはたしかだ。
・口腔環境を整えるために
このような重度の歯周病を改善するために、歯医者さんが行ったのは、まず歯石の除去。これにはかなり手間と時間をかけて、繰り返し治療が行われた。歯石を取り除きつつ、正しい歯磨きの仕方を教えてもらった。推奨されたのは、以前の記事でも紹介した「コンクール」という歯磨きジェルである。
歯磨きがヘタな人は、歯磨き粉の泡立ちで満足している可能性が高い。良く泡が立つ歯磨き粉を使うと磨いた気になってしまう。実は磨き残しだらけなのに、満足してしまって、正しい歯磨きが出来ていない場合が多い。コンクールは低発泡性で、磨けていない箇所を自分で感じ取ることができる。
また、歯周病菌に対して殺菌効果のある『塩酸クロルヘキシジン』と、再石灰化を促す『フッ化ナトリウム』も配合されている点も、歯医者さんが推奨する理由とのこと。
・歯磨きの仕方
これを使って、ゆっくり時間をかけて歯磨きを行う。磨き方としては、歯そのものを磨くというよりも、歯茎をマッサージするように心がけるのが良いそうだ。歯ブラシの先を、歯のつけてに押し当てるようにして、ゆっくりと磨くのである。こうすることによって、歯周ポケットの食べ残しをかき出すと共に、歯茎の血行を促進できるという。
・歯石の除去
歯周病の治療を受けている間に、つくづく実感したことがある。それは、専門医でさえもこれだけ時間を費やして治療しているのに、素人が自力で何とかできるだろうか? ということ。歯磨き粉のテレビCMでは「歯垢を除去」とか「歯石を予防」とか言ってるけど、そんな容易なものではないはずだ。
先にも述べたように、高発泡性の歯磨き粉を使っていると、泡立ちだけに気を取られて、磨いた気になってしまう。「マウスウォッシュを併用しているから絶対大丈夫!」なんて考えている人も少ないないだろう。
毎週歯医者に通っていて、歯磨きの指導を受け、日々自分なりに熱心に歯磨きをしている今の自分でも、歯垢はつくのだ。食事をする以上、歯垢や歯石の付着はある程度避けられないものと理解しなければいけないと思う。その上で、皆さんにこう言いたい。
定期的に歯医者に行こう! と。
・まとめ
ここまで読んできて、「結局どうすりゃいいんだ!?」と思われたかもしれない。私もそうだった。どこから何を始めるべきかわからず、「とりあえず食えるからいいか」くらいにしか思っていなかった。
だが、できるだけ早く歯医者に行った方がいい。治療が早いほど、これ以上歯を失う可能性は少なくなり、歯茎の後退を防げるからだ。以下が本稿のまとめである。
1.まず歯医者にいく
2.自分の歯と歯茎の状態を知る
3.治療にどれだけの時間と費用がかかるのかを知る
4.歯を入れる場合には、いくつか選択肢(銀歯(保険適用)・セラミックス(保険適用外)など)があることを理解する
5.歯磨きを見直す
6.歯を入れてからも定期的に歯医者に行った方が良い
・諦めないで、歯はきっとよくなる
最後にもうひとつお伝えしたいことがある。
通院から数カ月を経たあたりで、私の歯に変化が見えるようになった。歯の再石灰化が始まったのである。虫歯になると、歯のエナメル質が失われて、歯がスカスカになりもろくなっていく。歯垢が付着している状態が続くと、このエナメル質が失われて行くのだそう。これを「脱灰」という。
しかし唾液には本来、歯を健康に保つ働きがあり、唾液が充分に歯に接触する状態を保っていれば、エナメル質を新しく生成するのだとか。これが再石灰化だ。
私が歯を失い始めたのは、30代中ごろだ。まさかこんなに早く歯を失うとは思っていなかった。この先、近い将来に、さらに多くの歯を失うことになり、60代を迎える前には総入れ歯になるんじゃないか? と思っていた。寝ている時に夢でも歯がボロボロになる光景を見ていたくらいだ。それも繰り返し。
そんな私でも、歯が良くなることを治療によって体験できた。治療によってだけでなく、日々の歯磨きで歯が白くなっていく様子を見るのは本当にうれしいことだ。
だから、諦めないで欲しい。時間はかかっても、きっと良くなるから。 一度歯が良くなることを実感したら、歯磨きも楽しくなるし、歯医者にも行きたくなるはずだ。繰り返すが、諦めないで欲しい。きれいな歯を取り戻そう!
取材協力:小山歯科 中目黒デンタルスクエア
Report:佐藤英典
Photo・イラスト:Rocketnews24
Source: ロケットニュース24
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