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JR全線の普通列車、快速列車の自由席などが乗り放題になる格安切符といえば、もちろん『青春18きっぷ』だ。販売価格は5回分で1万1850円、つまり1回分は2370円なのだが、なんでも2017年春のダイヤ改正によって、1日で東京駅から福岡県の小倉駅まで行けるようになったらしい。
というわけで今回は、実際に筆者が東京駅始発の列車に乗って、本当に1日で小倉駅まで行けるのか確かめてみることにした。ずっと憧れていた青春18きっぷの旅をかなりハードに味わってきたので、さっそくご覧いただきたい。
・青洲18きっぷ1回分のルール
まずは、青春18きっぷのルールを簡単に説明しよう。1回分は原則乗車日内であれば、1日に何度でも乗降や途中下車が可能で、日付をまたいで運転する列車については、0時を過ぎて最初に停車する駅までは有効だ。
ただ、今回の旅程は1度でも乗り継ぎをミスしてしまうと小倉駅までは到着できない。移動時間は19時間を超え、乗り換え回数は13回、さらには3分以内のエクストリーム乗り換えが6回という恐ろしいスケジュールである。食事はもちろん、トイレもある程度計算しておく必要があるだろう。
・東京から出発
まずは東京4時55分発、横須賀線「久里浜行」に乗車。乗車時間は9分、目的地は品川で、5時10分発の東海道本線「小田原行」に乗り換えるという流れだ。ちなみに、東京発の東海道本線始発は5時20分「沼津行」なので、頑張っても山口県の厚狭(あさ)までしか行けないらしい。
とにかく乗り継ぎに失敗しないように、頭の中で「次は品川、11番線、5時10分、小田原行、品川、11番線……」と繰り返すのだが「寝る前にヒツジを数える」原理で死ぬほど眠くなってしまった。さすがは始発だ……眠気に負けたら終点の久里浜まで辿り着いてしまうに違いない。とても長い9分間であった。
・トイレは絶対に大事
品川での乗り換え時間は6分。時間に余裕があったので、トイレ付きの車両で “いつでも便所に行ける” ベストポジションを確保した。というのも、次の小田原から「熱海行」への乗り換え時間は1分なので、品川・小田原間で用を足すのがベストな気がするのだ。当然だが、洩らしたらその時点で試合終了である。
・静岡県に突入
どうにか無傷のまま6時21分に小田原に到着すると、ダッシュで6時22分発「熱海行」に乗り込んだ。熱海までは20分チョイ……途中の根府川で見た朝日がやたらとキレイで感動的だった。気持ちの良い朝日を感じながら6時45分に熱海に到着、静岡県に突入である!
また、なんとなく小田原あたりから、乗り換えに必死なメンバーの顔ぶれが同じであると気がつく。スムーズな乗り換えをするために混んでいるエスカレーターは使わず、階段を駆け上がる人も多いようだ。最終目的地はそれぞれだが、多くの旅行者を乗せた「浜松行」が6時49分に発車した。
ちなみに、熱海・浜松間は33駅、2時間半という恐ろしい長さだが、寝るには最高である。よく寝たせいで気分爽快、9時19分に浜松に到着して、4分後発の「豊橋行」にササッと乗り換えをキメた。腹が減ってきたが、豊橋までは気合いで我慢である。
・豊橋での7分
なぜ豊橋まで我慢するのかというと、豊橋での乗り換え時間が7分あるからだ。7分もあればトイレに行って買い物もできる。さっそくダッシュで便所へ行き「成城石井」でカツサンドを購入。10時03分発の「大垣行」に乗り込み、カツサンドを一気に食べた。
・大垣ダッシュ
11時31分に大垣に到着。扉が開いた瞬間、乗客が競走馬のごとく勢いよく飛び出していく……ってマジかよ。乗り換え時間は11分あるが、大垣・米原間は短い車両編成で運転されることが多いため「イス取りゲーム」みたいな感じで走る人が多いらしい。
レースに完全に乗り遅れてしまった筆者は、11時42分発の「米原行」に座ることができなかったので、先頭車両から運転席を眺めることにした。車内は混雑していたが「運転手気分」で眺める風景は気持ちがいい。米原には12時17分に到着、あっという間の35分だった。
・姫路で駅そばを食べる
つづいて12時20分発の琵琶湖線新快速「姫路行」に乗車。米原・姫路間は22駅で約2時間半だが、京都、大阪、神戸といったメジャーな駅を楽しく眺めていればすぐに時間は過ぎていく。そして姫路では16分の空きがあったので、タイムサービス320円の「天ぷらそば」を注文。駅そばマジで最高ォォォオオオッ!
・糸崎で途中下車
そばを完食後、15時03分発の山陽本線「播州赤穂行」に乗り、途中の相生(あいおい)で「糸崎行」に乗り換えた。糸崎に着いたのは18時04分、さすがに周りの青春18きっぷメンバーも総入れ替えといった感じだ。さて、次に乗る「広島行」までは25分もあるので、糸崎で途中下車をしてみることにした。
せっかくなので、ご当地グルメでも食べて旅行気分を味わいたいと思ったが、限られた時間の中で発見できたのはセブンイレブンのみ。いつでも食べられる「からあげ棒」を食べてすぐに糸崎駅へと戻った。もうすっかり夜である。
・広島に到着
東京駅を出発して約15時間、広島駅には19時52分に到着した。さすがにそろそろ限界かもしれない。あと4時間も電車に乗ると考えると意識が遠のくのだ……さらに! 3分後発の「徳山行」が、帰宅ラッシュで満員電車になるらしい。ウソだろもう1秒たりとも立ちたくねェェェエエエエッ!!
消え行く意識の中でぼんやりと空席を見つけたのは、広島を出て30分くらいたった頃だろうか……気がつけば徳山に到着、21時57分である。2分後発の「下関行」に乗り換えたが、今度はガラガラ状態だったので、乗客それぞれが4人掛けシートを1人占めできる感じであった。
・感動のフィナーレ
23時50分、ついに下関に到着。1分後に「小倉行」が発車なので最後までバタバタだったが……いよいよ感動のフィナーレである。最初に説明した通り、0時を過ぎて最初に停車する駅で今回の旅は終わるのだ。もちろんゴールは……!
小倉ダァァァァアアアアアアーーーッ! うおおおおおおおおおおおーーーーー!
・東京から小倉まで19時間9分
0時04分、青春18きっぷ1回分2370円で、本当に小倉まで来ることができた。東京出発が4時55分で小倉到着が0時04分。計算すると……東京から小倉までは19時間9分、乗り換え回数は13回であった。
──いかがだっただろうか。もちろん新幹線や飛行機を利用すれば快適に目的地に行けるだろう。ただ、青春18きっぷの旅でしか味わえない達成感も確かにハンパじゃなかったので、機会があればぜひチャレンジしてみてくれよな!
Report:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
Source: ロケットニュース24
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