フリーライターが出版社の採用試験を受けてみた結果 / 実務経験で学歴エリートに勝てるのか?



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就職活動真っただ中。強い日差しの中、スーツ姿で街を駆け回る学生は本当に大変だ。そんな中、今春からフリーライターとなった私は、お世話になっている出版社の編集長から「新卒採用試験を受けてみないか?」と声をかけられた。

たしかに将来なんか不安しかないしな……。こんな私でもいいなら受けてみよう! フリーライターが出版社の面接を受けるとどうなる?

・フリーライターになった理由

私がフリーライターになったのはズバリ、就職できなかったからである。学生時代から細々とライター活動を始めていたが、正直これで食っていける気もしない。

周りの編集者さんたちも「書き手になるとしても、一度編集者として就職した方がいい」とこぞって言うし、ここは先人の知恵に従うことに。

新卒としての応募数としては異例の少なさではあったが、私は4つの出版社を受けた。包み隠さずいってしまうと、『新潮社』と『昭文社』と『KADOKAWA』である。どこもめまいがするくらいの倍率で、先の2つは筆記試験で落ち、『KADOKAWA』は2次面接で落ちた。

その後に受けたもう1つの会社になぜか中途枠で採用。しかし直前で「やっぱりアルバイト採用でいい?」と言われ、私は今春からフリーライターになった。

いまはロケットニュース24をはじめ7つの媒体で仕事をしている。秋には書籍も出る予定だし「順調じゃん」と言われることもあるが、給料なんて新卒の初任給にスネ毛が生えた程度。フリーランスは正社員の2倍稼いでトントンなんて話もある。

ボーナスもなければ保険料や経費とかの諸々は全部自己負担。もうお先真っ暗というところで、出版社の編集長から声をかけて頂いたわけだ。

・履歴書にフニャフニャの文字で記入する

編集長いわく、「履歴書は通るよ」とのことだったが、面接はおそらく履歴書を元に行われるのでわりかし重要である。しかし、普段文字はパソコンでしか書かないし書いたとしても自分しか読めないようなメモ程度。履歴書にしかるべきシャキッとした文字がまるで書けないのである。

さらに私の専門分野はアングラ系。夢と希望を持った大学生への質問にも、ひねくれた回答しか浮かんでこないのであった。




「こりゃマズいな……」と思いながらもフニャフニャとした文字で期日ギリギリに郵送。後日、人事の方から電話を頂きなんとか1次面接を受けることになった。編集長によると、『慶応義塾大学』をはじめそうそうたる学歴エリートたちが集まったとのこと。一体、私のかすかな実務経験はどこまで通用するのだろうか?

・久々のスーツ姿で一次面接へ

面接会場は何度か打ち合わせで訪れたことのある見慣れた編集部。この期に及んでタンスの奥から引っ張り出したスーツを着ている自分がなんだかみじめに思えてくる。まずはテスト用紙を渡され筆記試験を受ける。SPIやなんやらなんか、今さら勉強する気も起きなかったし、仕事柄ニュースはそれなりにチェックしているから大丈夫だろと思ったのだが……。

筆記試験がまるで分からない! 数年前まで常識だったことがすべて記憶から消し去られている。日本三大随筆なんてこの原稿を書いている今でも思い出せないし、野田元総理のフルネームも分からない。

『西郷どん』の主役に抜擢された俳優? 時代劇なんて生まれてこの方1回も見たことないので知ったこっちゃない。そう、私は自分の専門性を高めようとするあまり、知識や興味といったものが偏り過ぎていたのだった。

広い目で世間を見なくてはならない編集者、いや社会人としてもこれは致命的であった。面接官はいかにも仕事ができそうな好青年さんとキリっとしたキャリアウーマン風の女性。私は “よく分からないこと” を記入した履歴書を元に “よく分からない発言” を連発。私と面接官の社会人としての経験の差は歴然だった。

結果はもちろん不採用だ。正社員へのわずかな望みは断ち切られ、再びフリーライターとしていばらの道を歩むほかなくなったのである……。確定申告とか正直チンプンカンプンだよ!

Report : 國友公司
Photo : Rocketnews24.


Source: ロケットニュース24






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