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「お腹が空いて力が出ない」のはアンパンマンのカバオくんだけじゃない。何をするにも、まずは腹ごしらえが大事。とは言え、事情によりお腹いっぱい食べられないこともあるだろう。そこにそっと手を差し伸べる救世主が現れた。
奈良にあるとんかつ屋『まるかつ』では、経済的に困窮している子どもを持つ家庭に向けて、お腹いっぱいになってもらうべく無料で食事を提供している。このような取り組みを始めた経緯について、店長に話を聞いてみた。
・お代は出世払いで
JR奈良駅から車で10分ほどの距離にある『まるかつ』。SNS経由で同店の取り組みを知った記者が、実際に足を運んでみたところ、店頭に置かれた自動販売機の陰にひっそりと貼られたメッセージを発見した。
そこには “お子さんにお腹いっぱい食べさせてあげてください。お代は出世払い、もしくは忘れて” ということが書かれていた。これはナカナカ真似できないことだと感じたので、店長の金子友則さんにどういった経緯で始めることにしたのかを聞いてみた次第だ。
・お腹をいっぱいにして元気になって
なぜ無料提供を始めたのかという質問に対し、金子さんは「ニュースなどで貧困世帯のことなどが報じられていましたし、自分もできる範囲でできることをと思い、思い切ってやってみました。お腹がいっぱいになったら元気が出ると思います」と答えてくれた。
同店では2018年冬の北陸地方豪雪時に、福井県民をはじめとする北陸四県の頑張りをねぎらおうと「北陸県民割引」を実施したこともあるそうだ。そしてその際には、決して近くない北陸から約250人が来店したという。
各地の「子ども食堂」の現実、孤食が原因のさまざまな社会問題などを勉強し、前向きな気持ちになる一歩になれたらという気持ちで行動に移した金子さん。続けて次のようにも語ってくれた。
「北陸県民割引や今回の取り組みを通じ、お客さまも私自身も人の善意を信じられるようになりました。SNSを通じて励ましの声をいただいたり、実際に店に足を運んでもらえて、胸が熱くなると同時に気が引き締まっています」
これまでの経験が今回の活動につながっているようだ。今ある社会のセーフティーネットで拾いきれないことが、無料食堂で拾えるかもしれない……金子さんの言葉から思いを感じずにはいられなかった。
・丁寧に作られたとんかつがメチャうま
そして同店のとんかつを食べてみると、その丁寧な味に驚いた。上品な衣に、豚肉の旨味もたまらない。記者は “ねぎ塩ロースかつ定食(1280円)” を頼んだのだが、かつの上に添えられたねぎ塩がこれまたウマかった。程よい塩気とネギのさっぱりさ、食感が豚肉とベストマッチ。作っている人の人柄がにじみ出たような一品だった。
無料提供については無期限らしく「いつまで続けられるか正直わからないが、できる限りやっていきたい。困っている人がいなくなるまで、なるべく続けていきたい」とのことだった。奈良に訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてほしい。
・今回ご紹介した店舗の詳細データ
店名 まるかつ
住所 奈良県奈良市神殿町667−1
時間 11:00〜15:00、17:00〜23:00(LO22:45)
定休日 無休
Source: ロケットニュース24
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