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中国に行くたび、彼ら中国人のパワフルさというか騒がしさというか、人の目を気にすることのないその自由さに驚かされる。むしろ我々日本人があまりにも大人しすぎるのかもしれないが、ああいった姿をうらやましく思うことがあるのは確かだ。
これは先日、私(あひるねこ)が中国四川省に行った時の話である。特に観光地でも何でもない、現地の人が行くような普通のスーパーに寄り買い物をした私は、そこであまりにも強烈なおばちゃんと遭遇(エンカウント)し、思わずその場に立ち尽くしたのであった。
・中国のスーパーにて
ホームセンターのようなだだっ広いフロアに、食料品やら日用品やらありとあらゆる物が並ぶ巨大スーパー。コンビニでは見かけないような商品も多く、また現地の人の生活も透けて見えるため、海外でスーパーに行くのはなかなか楽しい。
商品をカゴに入れてレジに並び、そこで会計を済ませるのは中国だって同じだ。先述の「強烈おばちゃん」には、この後レジで出会うことになる。
・強烈おばちゃん、登場
しばし並んで、いよいよ私の順番が回ってきた。財布の中身とレジに表示される合計金額を交互に眺めながら、私は自分の会計に備える。なかなか小銭を使う機会がないので、ここが出しどころである。とここで、レジカウンターを挟んで私の正面あたりに立っていたおばちゃんが、何やら大声で叫んでいることに気付いた。
基本的に中国人は声がデカイので、この時は離れた位置にいる知り合いに話しかけているのだと思った。しかし、どうやらそうではないらしい。というか、これ私に向かって言ってないか? 当然、我々は初対面である。それでも止まらないおばちゃん。いやいや、中国語でそんなん言われても分かりませんて。そしてデカイ! 声がデカイよ!!
・迫りくるおばちゃん
50代くらいだろうか。怒涛の勢いで何かをまくしたてるこの強烈おばちゃんは、完全に私をロックオンしているご様子。そしてついに、私のほぼ真横にまでやってきた。何を言いたいのかまるで見当がつかない上に、私は私で会計の真っ最中だ。そうか、こっちの都合はお構いなしか。
・謎の主張
するとおばちゃん、私に向かって何かの券を2枚見せてきた。だから、何なんだよそれは。何の券だよ。券にはそれぞれ1、2と書かれており、どうやらスーパーが発行したものらしい。ただ、それが分かったところで、おばちゃんが私にどうして欲しいのかは不明である。
・狙われた財布
おばちゃんは、今度はレジの店員に話しかけた。その店員はリアクションこそ薄いものの、どうやらおばちゃんの要求を呑むような雰囲気を出している。だから待ちなさいって、私抜きで話を進めるんじゃないよ。そして次の瞬間、予想外のことが起きる。おばちゃんは2枚の券を店員に渡した後、なんと私の財布に手を伸ばし始めたのだ!
え? え? ……は? 意味が分からず呆然としていると、おばちゃんは私の財布から1元札を3枚、合計3元を抜き取り、それを私に見せ、そしてどこかへ消えていったのである。残された私は、会計を終えた後もしばらく何が起きたのか分からず、その場で立ち尽くすしかなかった。
・答え合わせ
なんか、おばちゃんに3元パクられたのだけど……。目の前で起きた生まれて初めての出来事に頭の整理が追い付かないまま、ふとレシートを見る私。その時、ようやくすべてを理解した。あ~! そういうことだったのか!!
つまりはこういうことだ。あの強烈おばちゃんが持っていたのは、スーパーの割引券だったのである。1元分と2元分の2枚。おそらく券の有効期限がその日までだったのだろう。しかし、おばちゃんは自分の会計で券を出し忘れてしまった。そこで私に券を使わせ、同額の3元を私の財布から持っていったというわけだ。
・幸せな世界
レシートを見ると、「代金券」という名目で3元が合計金額から引かれている。そう、結果的におばちゃんは本来引かれるはずだった3元を手にし、私も損はしていない。割引券も無駄にならなかったしで、これ以上ないほどに丸く収まったと言っていいだろう。
・さすがチャイナ
とは言え、明らかに言葉が分かっていない外国人に、それをやるかね? そもそも、初対面の人にそれを頼むかね? たしかに考えたことがある人はいると思う。しかし、それを実行できないのが日本人というものだ。それでも、中国人はやる。あの強烈おばちゃんは、軽々とそれをやってのける。まったく、たくましい人たちである。
執筆:あひるねこ
イラスト:稲葉翔子
Photo:RocketNews24.
Source: ロケットニュース24
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