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サイバー世界の価値が上がっている
今回のビットコイン現象を、経済評論家の多くがチューリップのような過去のリアル世界の事象を元に解説しようとしているが、これはサイバー世界の出来事であり、リアル世界の物差しで測ることはその本質を見誤ると思う。リアル世界のモノやサービスは物理法則から逃れることはできず、成長には自ずと限界がある。チューリップは人が待っている時間で進化することはないが、デジタル機器はムーアの法則で進化し、ネットワーク価値はメトカーフの法則で進化する、とされている。
今回の現象は、マクロに見ればビットコインを筆頭とする仮想通貨の出現により、その将来期待によりサイバー世界に投資が集まっていると解釈することもできるだろう。このような現象は、かつてIPOブームで見覚えがある。シリコンバレーを中心にハイテクベンチャー企業が競ってIPOし、そこにお金が流れ込んだ(先のネットスケープがその先陣)。日本でもインターネット初期や渋谷ビットバレーで同様の現象が起きている。しかしあのときは、お金は主に株式市場でやりとりされていて従来の世界に留まっていた。今回はお金がサイバー世界に流れ込んでいる点が違う。つまり、サイバー世界の価値が相対的に向上しているといえるだろう。これが、お金をサイバー世界で扱えるようにした仮想通貨の効能でもある。誤解を恐れずにいえば、リアルなお金がビットコインなどの仮想通貨に換金されてサイバー世界に流れているのだから、リアル世界の価値が減りサイバー世界の価値が高じているのかもしれない。
仮想通貨は発展途上
ところで、先に紹介したネットスケープは、10年くらい後には後発のマイクロソフトのインターネットエクスプローラー(IE)に敗れ市場を失っていくことになる。さらにここ数年では、グーグルのChromeがそのIEを抜きメインシェアを占めるに至っている(TIMEMAPの「激しかったウェブブラウザー戦争」のグラフを参照されたし)。
この歴史から学べば、ビットコインがこのまま仮想通貨の主流になると思うのは時期尚早だろう。仮想通貨の歴史はビットコインが発明されてから約10年だが、TCP/IPが発明されてからインターネットが商業利用されるまでの20年、Webブラウザーが発明されてからネットスケープが登場するまでの14年、Chromeが登場するまでの28年と比べてみると、まだ永くはない。まだまだ改良や改変が続くことが予想される。実際、いまでもビットコインの改良版とされるイーサリアムやライトコインなどがその座を狙っているし、いまはないものが後に主流になっていくことも十分考えられる。しかし、ネットスケープが後にMozillaに受け継がれていくように、ここまで普及したビットコインは何らかの形で資産が継承される可能性は大きいだろう。
この物語は長編だと思われる。10年単位での視点が必要なのではないだろうか。
仮想通貨の価値向上は止まらない
仮想通貨は発展途上ではあるし、きのう大きな下落があったばかりだが、仮想通貨全体の価値向上は止まらないと思う。それは、上記してきたように仮想通貨がインターネットの申し子であり、インターネット的だからだ。電子メールやWebやECやSNSを誰も使わない時代になれば別だが、現状ではその未来は予測しがたい。逆に、それらの既存のインターネットツールと融合しながら進化していくという未来のほうが予測しやすい。
もし、仮想通貨に暴落や消滅があるとすれば、いまのブロックチェーン技術に本質的な欠陥があった時か、または既存の枠組みとの衝突などで国が規制する時だろう。前者は諦めて次の技術革新を待つしかないのだが、後者についてはこれまでのインターネットの歴史が示しているように、一国の規制でこの進展を止めることはできないと思う。
いま、人類最大の発明といわれるお金がデジタル化されようとしている。そしてそれが中間者を介さずに個人間でやりとりできる未来が来ようとしている。仮想通貨の登場により、インターネット革命第二幕のゴングが鳴ったのだと思う。「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」というアラン・ケイ氏の言葉を思い起こし、いい未来を創っていくことに参画したいものである。
最後に、「ビットコインはバブルか?」という問いには、仮想通貨が実体を上回る価値になっているという意味なら一時的にイエスだが、これ以上お金を投資する対象ではなくなったという意味ならノー、だと思う。
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/imreboot/column/1101727.html
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Source: 仮想通貨まとめNews
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